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中島らもが残したあまたの言葉

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中島らも短編小説コレクション

参考書籍情報
・ちくま文庫
・2016年3月10日 1刷



短編小説15篇収録。
未発表作品「美しい手」「”青”を売るお店」掲載。
P.8 「美しい手」
「夜、ツメを切るのはようないんやで」
祖母が僕にいう。僕は彼女が眠るのを見すましてから、猛然とツメ切りにとりかかる。これ以上悪い状態というのがどういうものなのか、一度でいいから見てみたいからだ。
 
P.20 「”青”を売るお店」
「若い」ということは哀しい。なぜならそれは、さ中にあっては気づかず、失って初めてそれと知る性質のものだからだ。
 
 
 

空のオルゴール

参考書籍情報
・集英社文庫
・2005年2月1日 1刷


エンターテイメント長編。
奇術師同士の戦いを描く。
P.14
不可解は不可解としてそのままに受け止める。それが時友の流儀だった。そうでもしないと、この不可解だらけのお世界に押しつぶされてしまう。
 
P.15
いずれにせよ、時が我々を連れていってくれるだろう。約束の地へ。それが生であれ、死であれ、時が我々を連れていってくれるだろう。
 
P.87
「まったく神様は、何で食事なんていう面倒臭いものを創られたのだろう。俺はバッカスに祈りを捧げ、神を呪うよ」
 
P.220
二日酔いも、うまい酒も、両方味わってこそ酒の味だ。
 
 
 

水に似た感情

参考書籍情報
・集英社文庫
・2000年5月25日 初版

書評を読む

らもさん自身の体験をもとに描かれた、バリ島を舞台とした小説。
執筆中に躁病が発症し、半分は躁状態で書かれたという。
P.20
羽根をひろげると蛇そっくりの顔になって外敵から逃れるという蝶がいた。こいつのデザインというのは誰が考えたんだ。明らかにダーウィンの進化論は通用しない。誰かがデザインしている。
 
P.133
日本たばこ産業は、煙草を売るのはやめて、マリファナを売りゃあいいんだ。

P.181
人は自分の心に名前がないことに耐えられない
 
P.227
別に驚くには当たりません。私は今までに自称キリストって人に十二人会っています
 

バンド・オブ・ザ・ナイト

参考書籍情報
・講談社
・2000年5月24日 1刷

書評を読む

ドラッグにおぼれたヘルハウス時代の退廃的日々を描いた半自伝的小説。
ラリりのシーンの、自動筆記で書かれたという言葉の連続は衝撃的。
P.18
本気でサラリーマンをやるのは止めよう。胃に穴があいてしまう。九時から五時までの八時間を会社に身売りすることにしよう。そしてその代価として給料をもらおう。余った時間と金で、自分の好きなことをしよう。とにかく胃に穴をあけるのは止めよう。

P.45
未だ名づけられないさまざまの感情と包茎の先のピアスと誰に言うでもないさよなら

P.69
時代は70年代安保の敗北感に包まれていた。ビートルズが解散したところへ三島由紀夫が自決した。シラフでいられないような空気があった。

P.101
人間の目というのは要するにレンズでできている。レンズでできているのであれば我々の脳内に結ばれる映像は上下倒立して映るはずだ。
 
P.111
おれはたぶん道ばたの石っころを蹴るだろう。長い沈黙にうんざりとしている石ころを。
 
P.143
ほんまの友だちっちゅうのはな、自分がつらい目におうてるときには、親友に連絡せんもんや。
 
P.145
部屋というのはその使用者の心象風景だ。

 
P.332-333
葬式には行かなかった。葬式に行かないのは俺の流儀で、あの黒枠に囲まれた写真を見てしまうと、もうほんとうにお別れだと感じてしまう。葬式に行かずに、あの黒枠の写真さえ見なければ、いつかどこかの街でばたっと会うような、そんな気のままでいられるからだった。
 
P.349
「ガド君はね、この世に向いてない人だったんだよ。そう思わないか」
 
P.349
わしづかみにされた心臓、コンクリートの上を這いまわる太刀魚、ピス・ファクトリー
 

全ての聖夜の鎖

参考書籍情報
・復刻ドットコム
・2014年7月20日 1刷

「らもん」名義で100部のみ出版された、幻の処女作の復刻
復刻の際、手書きの詩、エッセイ、インタビューが追加されている

P.不詳 「イブニング・スケッチ」(The Way To Be the Truth)
ひずみが 必要だ
生きてく ためには
 

P.不詳 「特集『もう帰さへんで!大阪』より」
何も起こりはしない。何もこわせはしない。よしてくれと頼んでいるのに日が暮れる。道頓堀の橋の上で日付が変わる。そして、頼んでもいないのにやがて朝日が昇るだろう。
 

P.不詳 「特集『もう帰さへんで!大阪』より」
過ごして行く日々の、どうしようもなく辛い一瞬、苦しい瞬間を点にして拾い出して行き線で結べば、そこには見事に「不幸な人生」という図式が浮かび上がってくるだろう。また逆の方法をとれば「幸福な人生」を描くこともできる。
 
 

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